山の緑がいっそう濃くなる頃、豊根村ではブルーベリーが色づき始めます。
枝の間から、青紫色に熟した実を探して指先でそっとつまむと、完熟した一粒は驚くほど軽く、ぽろりと手の中に落ちてきます。
その場で食べるのは、もちろんおいしい。けれど、ブルーベリーの楽しみは農園を出たあとも続きます。
たっぷり摘んで持ち帰ったら、朝食に、おやつに、飲み物に。豊根村で見つけた夏の味を、家でもう少し楽しんでみませんか。
豊根村の夏に、ブルーベリーが実る
豊根村でブルーベリー栽培が始まったのは1985年。「村に新しい特産品を」と、4軒の農家が栽培を始めたのがきっかけでした。
それから約40年。増えたり減ったりしつつも、現在は村内8つの農園でブルーベリーの摘み取りを楽しめます。
標高が高く、昼と夜の気温差が大きい豊根村。その山の気候が、瑞々しく立派なブルーベリーを育てるといわれています。旬は例年、7月上旬から8月上旬頃。
農園さんによって、育てている品種や実の大きさは異なり、さらに木によって甘みと酸味のバランスがさまざま。同じ青紫色に見えても、食べ比べてみると一粒ごとに少しずつ味が違います。
摘み取り体験に出掛けると、「本当、木によって味が違うね」という声も聞こえてくる程。
また「大きい実がおいしい」とは限りません。
小さくても味や香りが濃い一粒、酸味のきいた一粒、皮がぱりっとした一粒。自分の好きな味を探すことも、ブルーベリー摘みの楽しみです。
色と手触りもさまざま
ブルーベリーを摘むときは、実全体が濃い青紫色に染まり、軸の付け根まで色づいているものを探します。
指先で軽く触れただけで、力を入れずに外れる実も食べごろの合図。引っ張らなければ取れない実は、もう少し木の上で待ったほうがよいかもしれません。
ブルーベリーは、収穫後に甘くなる「追熟」をほとんどしない果物です。だからこそ、木の上でしっかり熟した一粒を、その場で味わえることに価値があります。
摘んだばかりの実を口に入れると、最初に感じるのは、みずみずしさ。そして甘みのあとから、やわらかな酸味と香りが広がります。
この香りの高さは、スーパーで買えるブルーベリーとは少し違う、「畑でしか出会えない味」です。
持ち帰ったら、まずはそのまま
摘みたてのブルーベリーは、何も加えず、そのまま食べるのがいちばんです。
冷蔵庫で冷やすと、果肉が締まって、爽やかな甘みが引き立ちます。ヨーグルトやアイスクリームにのせる場合も、最初は砂糖やソースをかけず、ブルーベリーそのものの味を確かめてみてください。
すぐ食べる分は冷蔵庫で、あとは冷凍庫で凍らせておけば大丈夫。冷凍ブルーベリーは栄養価が高まるとも言われています。
小さくてもギュッと中身が詰まっているブルーベリー。しまう際には実を重ねすぎないことも、潰さずに保存するポイントです。
摘んだあとの、5つの楽しみ方
1.朝のヨーグルトに
プレーンヨーグルトにブルーベリーをたっぷりとのせ、はちみつを少し。グラノーラや砕いたナッツを加えれば、山の果実を味わう朝食に。
ブルーベリーを数粒つぶしながら混ぜると、ヨーグルトが淡い紫色に染まり、果汁の香りもよく広がります。
2.凍らせて、夏のおやつに
実をやさしく洗い、水気をしっかり拭き取ったら冷凍します。
ヨーグルトにのせたり、スムージーにも丁度良く、炭酸水やサイダーに浮かべれば、氷の代わりにもなります。
天然のアイスというところでしょうか、冷たくて栄養価も高いので、夏バテ対策にも持ってこいです。
3.パンや焼き菓子に混ぜる
ブルーベリーは、スコーンやマフィン、ホットケーキとも相性のよい果物です。
生地に混ぜるときは、実を潰さないよう最後にさっくり加えるのがコツ。焼いている間に果汁があふれ、切り口に紫色の模様が広がります。
冷凍した実は、解凍せずにそのまま生地へ加えても使えます。
4.簡単なソース・ジャムにする
鍋にブルーベリー100グラム、砂糖20~30グラム、レモン汁小さじ1ほどを入れ、実を軽く潰しながら数分煮ます。
形が少し残るくらいで火を止めれば、ジャムよりも軽いブルーベリーソースのできあがり。
アイスクリームやパンはもちろん、クリームチーズ、パンケーキにもよく合います。砂糖を控えめにすると、果実の酸味が残った爽やかな味になります。
砂糖をもう少し増やして、粒が残るよう丁寧に煮詰めれば、食感も楽しいジャムが完成します。
5.料理のアクセントに
ブルーベリーは、お菓子だけの果物ではありません。
クリームチーズと一緒にクラッカーにのせたり、生ハムや葉物野菜のサラダに加えたり。軽く煮たソースはバルサミコ酢風に扱え、豚肉や鴨肉、鹿肉など、味のしっかりした肉料理にも合わせられます。
甘みだけでなく酸味もあるからこそ、料理に加えると味を引き締めてくれるのもうれしいですね。

豊根の夏を、家まで持ち帰る
ブルーベリー摘みは、その場で食べて終わる体験ではありません。
どの実がおいしそうかと枝をのぞき込み、一粒一粒味を比べ、持ち帰った実をどう食べようかと考える。次の日の朝、ヨーグルトに添えた一粒から、農園の景色や山の涼しい風を思い出す。
摘み取った実の一つひとつに、豊根村で過ごした時間が残っています。
今年の夏は、山の中でブルーベリーを摘み、その季節を少しだけ家まで連れて帰ってみませんか。



